餅菓子、羊羹、饅頭、最中、落雁、煎餅……私たち日本人の身近にある和菓子たちは、古くから愛されてきたお菓子です。
今現在、和菓子には砂糖も使われていますが、日本で最初に作られたとされる甘味は、米の中にあるでんぷんを糖に変えた飴のようなものだったと言われています。時が経つとともに、和菓子には様々な素材が加わりましたが、今でも動物性の原料色や乳製品は使うことは少なく、寒天など海藻類を凝固剤として使用するなど、昔からの伝統は引き継がれています。
色鮮やかなのに上品な色合いと甘すぎない優しい口触りは、和菓子にしか表現できないものなのです。
また、和菓子には日本人には馴染み深い緑茶とともに食べるものを想定して作られているものが多く、日本特有の「四季」や「節目」のために作られたものも多々あります。特に日本という国は年中行事や慶弔事も多く、和菓子はそのときの引き出物などにも用いられているのです。
ただ甘味として食べるのではなく、人々の喜びや悲しみといった様々な気持ちを伝えてくれる和菓子は、人々の日常や生活にとても関わりが深いものであり、古くから大切にされ愛されてきました。
中には“工芸菓子”と名前がつくほど写実的かつ絵画的に表現されたお菓子も存在し、和菓子の工芸菓子は「山水花鳥風月」が主なテーマとなっています。職人たちの手で作り上げられる花や動物、四季や風景を、食べられるお菓子で表現した芸術たちは圧巻であり、見る人の心を一瞬にして掴んでくれます。
私たちの目を楽しませ、口に入れても楽しませてくれ、人々に寄り添ってきてくれた和菓子は、日本が誇る独自の技術と伝統を兼ね備えた食べ物です。まさに”食べる結晶”と言えるのではないでしょうか。