歴史
古来神話の時代よりはじまり
米文化の歴史をもつ日本酒は、今世界へ
日本酒は“燗してよし、冷やしてよし”という世界でも珍しいお酒です。 飲用温度も他の酒類と比較すると幅があり、5℃~55℃位までと、広範囲にわたっています。 また、冬から春、夏から秋へと日本の四季の移ろいとともに生まれ、育つ酒で、日本独特の気候風土が生み出した酒です。豊かな自然の恵みと日本人の知恵の結晶が日本酒であるといえるでしょう。
日本酒は文字通り「日本のお酒」です。しかし、日本酒がいつから・何のために造られてきたのか…といったことまでは、詳しくご存じの方は少ないかもしれません。私たちが何気なく飲んでいる日本酒には、深く長い歴史があります。
日本とともに歩んできた日本酒の起源や、ロマンたっぷりな歴史、現代に続く日本酒文化についてお伝えしていきます。日本酒の原料は、お米と米麹、水です。日本酒の歴史は、およそ稲作が日本に伝わった時期と同じと考えると良いでしょう。
一般的に、日本に稲作が伝わったとされているのは弥生時代で、今から2000年位前にさかのぼります。
特徴
雑念にとらわれず、四六時中いかなる時も
一心修行に専念する為の食事が「精進料理」
精進料理は極めて単純な食材を、多くの制約がある中で調理するため、さまざまな一次・二次加工が施されてきたことも特徴のひとつである。例として、大豆は栄養価が高く、菜食で不足しがちなタンパク質を豊富に持つこともあり、精進料理に積極的に取り入れられたが、生食は困難である。このため、風味を向上させ、長期保存し、食べる者を飽きさせないといった目的も含めて、ごま油、豆豉、味噌、醤油、豆乳、湯葉、豆腐、油揚げ、納豆などが生み出された、こうした技術は、精進料理を必要とする寺院と宮廷を含むその周辺の人々によって、研究・開発され、蓄積されてきた。
精進料理において禁止されるものは肉類とネギ類=葷(くん)である、これを禁じるのが禁葷食(きんくんしょく)である。葷は昔から五葷(ごくん)と呼ばれてきた。時代によって5つの内容は若干異なっているが、代表的な五葷はネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラの5つのことを指す。
このように、自他ともに修行の妨げになるため禁じられたという側面と、『首楞厳経(しゅりょうごんきょう)』に「まさに世間の五種の辛菜を断つべし。この五種の辛は熟せるを食すれば淫を発し、生をくらわば恚(いかり)を増す」とあるように、修行生活に必要のない性欲や、根本的な3つの煩悩(三毒)の一つである「怒り」をみだらに高めないという側面があったようである。
製法
浄められし心構えと、作法で引き出す
素材の滋味を輝かせる多彩な技法
宗派や地域・時代によって様々な発展を遂げてきた精進料理はその定義もそれぞれに異なります。例えば、禅宗のひとつ、曹洞宗の開祖、道元禅師は精進料理について「苦味、酢味、甘味、辛味、塩味の5つの味を基本に淡味に仕上げること」「煮る、焼く、蒸す、揚げる、生の5つの技法を用いて野菜本来の味を引き出すこと」「赤、白、黄、青、黒の5色の食材を用いること」というように調理方法についても様々な教えを残しています。調理自体にも正しい心構え・作法で行うことが求められていたようである。
食の多様化が進み、さまざまな料理を日常的に食べられるようになった飽食の現代、「食べること」も「料理すること」も修行の一環とする精進料理の考え方は、食への関わり方を見直すきっかけにしたいものである。無駄を極限まで減らす一方で、電子レンジなどは使わず、美味しさを追求するための手間を惜しまない姿勢など、調理工程にも意義があることを知る。心構えから作法を通して素材を磨くことを怠らず「食」に感謝することを忘れてはいけない。
伝統
淡々と励行することの神髄が在る
料理を産み出す過程こそが修行の一行
和食は「苦味、酸味、甘み、辛味、塩味」の五味が基本だが、精進料理にはそこに「淡味」が入り、「淡」を尊ぶ伝統があります。「淡味」は素材本来の味を引き出す調理法です。植物性食物だけで調理したものを、日本の特徴である四季とともに美味しく健康的に食べられるものです。精神性から言えば、「淡」とは仏教でいう中道。つまり、極端に偏らない真っすぐという意味を表現しているのでしょう。俗にいう「淡々と」。それは「飽き」がこないので持続させることができます。