細やかで優しい日本の味
伝統的食文化としての和食とは
日本の豊かな風土と歴史ある社会の中で発展してきた料理、和食。食材本来の味を活かし、日本ならではの四季の移ろいや、そのときの旬の味を大切にします。私たちが住んでいる日本は海に面しており、また比較的温帯な風土が特徴の国のため、魚介類や野菜、穀物といった食べ物が豊富にあります。それらをふんだんに使い、繊細な味付けで作られているのが和食ですが「和食」と一言でいっても、精進料理や懐石料理などの形式のあるものから、元旦のような伝統的行事に食べる御節料理など様々な種類があり、日常のあらゆる場面で親しまれています。
和食には強い香辛料はあまり使用されません。味付けは一般的に、「料理のさしすせそ」とも呼ばれる五つの重要な調味料でされることが多く、また、味に甘さをつける際には水飴やみりんなどが主になっているため、全体的に優しく素朴、かつ上品な味付けが印象的です。さらに日本人は、五味のほかに、鰹節や昆布だしなどから出る「うま味」を古くから親しんでおり、特にこれは和食には欠かせないものとなっています。また、そのだしを取る段階から調理にはたくさんの水が使われているのが特徴的で、煮る・蒸す・焼くなどの方法が何度も使われています。
和食の組み合わせとしては、米のご飯と汁もの、おかず、漬け物が基本となり、食膳は一汁三菜が一般的とされています。
この組み合わせは、体に必要となる三つの栄養素である「力の源になるもの」「体をつくるもの」「体の調子を整えるもの」をバランスよく摂ることができるとされています。
また、日本ではたびたび魚や野菜を生のままで食することがあります。特に魚は刺身や寿司として親しまれ、専用の調理器具を使って繊細に仕上げられることも和食の特徴の一つです。