日本人の繊細な感性は日本の食文化のみならず、和食のしつらえの際に使用される和食器にも反映されます。料理が同じでも器の色合いや形、日本独特の古典的な絵柄が描かれているものや職人の腕が光る漆器など、食器を一つ変えるだけでがらりと代わり、それだけで和の雰囲気を味わうことができるのです。
食器をただ食べ物を置くための道具にしないあたりが、日本の細やかなこだわりと、飽くことのない追及心の賜物といえるでしょう。
また、日本は食器に関連し、盛りつけにも深いこだわりを感じさせることが多いです。盛りつけだけでも様々な種類があり、平盛り・ 流し盛り・放射盛り・散らし盛りなど、その料理に合った盛りつけを考え、一つ一つに余念がありません。
日本の料理において、盛り付けは「見て美味しい」がコンセプトとされており、もはや盛り付け事態が「料理の一部」として考えられるため、料理人には非常に繊細な技術が求められています。また、和食の世界では緑、黄、赤、白、茶で構成される五色が盛り付けにおける基本配色とされており、地味過ぎない鮮やかな色合いで、見る者を楽しませるのも重要です。
そういった盛り付けをするためには、素材はもちろん、素材の旬や産地にこだわったり、包丁の持ち方、研ぎ方、切り方などの勉強も必要となってきます。春夏秋冬、様々な季節に変わる日本では、一番美味しいと感じる素材も毎月と言っていいほど変わるため、その見極めが大変です。そして、その素材はどう調理すべきなのか、調味料の使い方や素材の旨みの引き出し方はどうすれば一番良いのか、こだわりぬいて習得していかねばならないのです。
そのような日本人のこだわりを知った上で普段の生活をしてみると、また違った観点が見えてくるかもしれません。